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2021年10月28日

【FPに相談・家計のあれこれ②】人生100年時代、老後資金は2,000万円で足りるの?

保険の加入や住宅購入など、ファイナンシャルプランナー(以下「FP」)に相談する【FPに相談・家計のあれこれ】コーナー。シリーズ第2弾は、「何となく老後資金が不安」というご家族からのご相談です。

40代女性 Bさんのお悩み

本当のところ、老後資金はいくら必要?

「老後資金2,000万円」は妥当なの?

「老後資金はどのくらい必要か」という話題は、ずっと先の将来のことだとしても気になりますよね。ご相談の「老後資金は2,000万円必要」というのは、金融庁のワーキンググループ報告書からの提言でした。結論からお伝えすると、65歳給付開始の老齢年金収入の平均などから考えて、2,000万円を目標として老後資金を準備するのは妥当と言えます。

出典元:金融庁「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html
(別紙1) 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

金融庁の報告書の中でも、夫が世帯主で65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では「平均的な年金収入と生活費を比べると月々5万5千円ほど不足するので、30年で約2,000万円不足する」(要約)部分がクローズアップされて“老後資金は2,000万円”となっていました。

ところが、同報告書のP17では「リフォームや老齢施設への入居金などは含まれていない。人生の早期にライフ・マネープランを立てて備えるべき」(要約)とも述べられており、2,000万円では足りない可能性も指摘されています。

一方であまり現金支出がかからない場所にお住まいの方や、60歳を超えても働き続ける方、家庭菜園が可能な方などは「月々5万5千円ほど不足」という前提が当てはまらなくなります。つまり、各ご家庭を取り巻く環境によって、必要な金額は変わってくるでしょう。

相談者さまは40代とのこと。60代になるまで20年ほどありますので、この機会に世帯の年金収入の予想や、60代までにどのくらい貯められるのか、調べてシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。あわせて、老後資金を考えることは、どのようなライフスタイルにしていきたいかをご家族で話し合うチャンスでもあります。

定年が70歳の企業も登場!働く期間が延びるメリット

「働いて収入を得ることからの卒業」を老後とすれば、老後期間は自分で選べるもの。社会全体の長寿命化を受けて、定年を従来の60歳から65歳に引き上げる企業が増えつつあります。

また、「高年齢者雇用安定法」の成立・改正で、70歳まで働く機会の確保が企業の努力義務となりました。これは企業に「働きたい!」と希望する方には働くチャンスを提供する努力をしてください、という法律です。

実際に、内閣府の調査でも、多くの企業の定年である60歳を超えて働く人は増加傾向にあります。働く期間が延びて、年金収入以外に月々5万5千円以上の定期収入があれば、その期間は老後資金を減らさずに生活することができる計算になります。

出典元:内閣府「第1章 高齢化の状況(第2節 4)」

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_4.html

働き方も、現役時代のように朝の9時から夕方5時までといったフルタイムにとらわれる必要はありません。1、2時間だけのパートや、得意分野を活かしたフリーランスなど、多様な働き方が考えられます。「年金収入にプラスする収入を“ちょっとだけ”」と考えれば、選択肢も広がりそうです。

厚生労働省によると、男性の平均寿命は81.41年、女性の平均寿命は87.45年とのこと。60歳で定年を迎えると、その後約20年~30年の老後期間があることになります。もし、このうち5年でも10年でも収入を得ることができたら、老後資金は2,000万円より少なくても良い計算になります。

出典元:厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/

老後資金の大問題、病気や介護はいくらくらいかかるの?

「老後資金2,000万円と言っても、大病したら足りないのでは?」という心配もあります。実際にご病気にかかられた方の年齢を『厚生労働省「患者調査」平成29年度』で見ると、65歳~69歳の区分から患者さんがぐっと増えている傾向があるようです。リタイヤ後は健康に気を配りたいものです。

出典元:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/

では、入院などで治療費がかさむ「大病」の治療費はどのくらいかかるのでしょうか。ここでは「三大疾病」の治療費を確認してみましょう。

『公益社団法人 全日本病院協会 2020年医療費(重症度別、年間)』によると、実際にかかった費用の平均は、次の表の通りです。

出典元:公益社団法人全日本病院協会「医療費:診療アウトカム評価事業」

2020年度 重症度別 急性期グループ 年間集計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/

実際の入院や手術費用が高額となった場合は、「高額療養費制度」で還付を受けることができます。ただし、実際の負担額は世帯収入によって変わってきますので、確認してみましょう。また、いざ入院となると、医療費以外にも家族の交通費や雑費などがかかる可能性があります。医療費が心配な場合は、医療保険を検討してもよいかもしれません。

そして介護費用は、要介護の等級や自宅か施設か、などの諸条件でかなり必要な金額は変わってくるようです。例えば、要介護3と認定された男性(自宅介護・1割負担)の場合は、月々約5万円の自己負担のほか、自宅の改修費などがかかったようです。

出典元:公益財団法人 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1111.html

介護の場合は、介護保険を活用し、ケアマネジャーと相談のうえ、負担の少ないケアプランをじっくり作成しましょう。

「今ひとつピンとこない」方は、プロに相談してみよう

「病気や介護でお金がかかることは分かったけど、肝心の老後資金はいくら?」という疑問はごもっともです。ところが、金融庁の報告書にも「各世帯で必要な金額は大きく違い、一概には言えない」とただし書きがありました。

老後必要な資金は個人個人でそれぞれ異なりますので、「老後資金2,000万円」が気になったら、早めにライフプランやマネープランを検討してみましょう。もしご自身で検討することが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談できるサービスを活用するのがおすすめです。

「ライフプラン」と「マネープラン」はどこが違うの?

「ライフプラン」と「マネープラン」、よく聞くこの2つのプランですが、実はそれぞれ役割があり、「ライフプラン」を実現するために考えるのが「マネープラン」です。お金の裏付けあっての人生計画だからです。ここでは、それぞれの役割を確認してみましょう。

《ライフプランとは?》

ライフプランとは、自分の一生で「何をやりたいか」や、「50歳で旅行に行きたい」など、人生の“夢”や“希望”を考えて書き出し、人生を計画するツールです。下記のような人生の節目などのタイミングに見直しすることをお勧めしています。

  • 進学
  • 社会人デビュー
  • 結婚
  • 出産
  • 定年など


他でもない自分の人生です。自分の大切にしたいものや成し遂げたいことなど、ライフプランに反映していきましょう。心境が変わってプランが変わることもあるかもしれません。

《マネープランとは?》

マネープランとは、ライフプランを考えたあとに「その時いくらかかるか?」「資金計画は現実的か」を確認するためのツールです。一度練ったプランでは立ち行かなくなった際には計画の練り直しを行いましょう。人生の節目に、先立つ資金がなくて泣く泣くあきらめるのは少し淋しいもの。ライフプランを支えられる資金の計画を立てましょう。

「ライフプラン」と「マネープラン」をそれぞれ説明しましたが、2つのプランは切っても切れない関係です。FP相談などでは、両プランをエクセルなどで一覧として作成してくれる場合もあります。

年金はいくらぐらいもらえるの?

年金は3階建のイメージで備えよう!

老後資金の大きな柱である「年金」。日本の年金制度は、3階建のイメージと言われています。

1階:ほぼ全員が共通する老齢基礎年金
2階:老齢厚生年金
3階:個人が加入する個人年金保険やiDeco、国民年金基金、企業で加入する年金

厚生年金に加入していない個人事業主やフリーランスの方は、2階部分がないので、3階のiDecoや国民年金基金などで不足分を補うよう、計画的に積立をすすめたいものです。

ちなみに、厚生労働省の『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報』 によると、令和元年度末の受給者の平均年金月額は、老齢年金では、厚生年金保険が14万6千円、国民年金が5万6千円です。

国民年金は、40年納めると満額の月額6万5千円ほどの給付になります。ところが、平均給付額には納付が40年に満たない人も含まれます。納付が少ない場合は、給付額が少なくなるので、平均は満額より少なめの数値になっているようです。

どっちがおトク?繰上げ受給VS繰下げ受給

老齢年金は、「繰上げ受給」や「繰下げ受給」ができます。メリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの計算式の確認をしてみましょう。ここでは、全員共通して受給できる可能性が高い、老齢基礎年金について計算してみましょう。

《繰上げ受給の場合》

日本年金機構の「65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき」によると、老齢基礎年金を65歳から受け取る資格がある場合は、繰上げ受給が可能です。早めに年金が受給できれば定期収入が得られ、大きなメリットとなります。繰上げ受給を希望する場合は、「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を提出します。

気になるデメリットは、繰上げ受給の場合は減額があることです。減額率はその後変えることはできません。
計算式は以下の通りです。

減額率=(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.005

出典元:日本年金機構「65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/kuriage.html

繰上げ請求と減額率

出典元:日本年金機構「老齢基礎年金(昭和16年4月1日以前に生まれた方)」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html

《繰下げ受給の場合》

老齢年金は、通常の受給開始年齢の65歳で請求をしないで、66歳~70歳まで繰下げて請求することが可能です。

繰下げ受給のメリットは、最大で42%年金額が増額されるという点で、老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げができます。

日本年金機構発表の増額率の表と計算式は以下の通りです。
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007

繰下げ請求と増額率 

出典元:日本年金機構「老齢基礎年金(昭和16年4月1日以前に生まれた方)」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html

※令和3年4月分からの年金額は780,900円(65歳受給)

デメリットは、もし受給者が早期に亡くなると受け取り総額は増えないことにあります。
「繰上げ受給」も「繰下げ受給」もそれぞれ、メリット・デメリットがありました。家計の状況に合わせて判断しましょう。

できるだけ長く働くためには…現役時代の「副業」でお試し

一昔前まで、日本は転職する方が少ない“終身雇用”がメインでした。今では、政府が副業や転職を後押しするようになり、雇用スタイルが大きく変化しています。60歳を超えても働き続けるように社会が変容していくのであれば、会社員の方は、現役時代から「次のキャリア」を考え、備えてみてはいかがでしょうか。

中規模以上の企業を中心に、企業の活性化を図るため、55歳などの一定年齢になると管理職が役職を離れて専門職などになる制度の「役職定年制」。このような立場の変化を一つのきっかけとして、まだ定年には時間がある方はキャリアの見直しをされることをお勧めします。本業+副業の可能性を考えるのも一案です。

今後のキャリアを考え、学び直しにトライして、新たな分野にチャレンジするのは、脳の活性化にとても有効のようです。「いきなり未経験の分野は不安!」という場合は、会社員で培ったノウハウを活かしてスキルシェア副業や、「定年後は憧れの職にトライしたい!」と経験を積んだり、お試ししたりできるのも副業ならではです。

自分の老後は自分で備える!そんなあなたにおススメ

2022年4月から、確定拠出年金(企業型DC)とiDeCo(個人型確定拠出年金)が併用可能に

確定拠出年金(企業型DC)は、企業と従業員が半分ずつ負担して積み立てる企業年金です。これまでは、企業型DC加入者は、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する事はできませんでした。

ところが2022年10月から、企業型確定拠出年金加入者もiDeCo(個人型確定拠出年金)に追加加入が可能になります。

企業型DCは、運営管理機関を会社側で一律に決めてしまうので、加入者の自由度が高くない場合もありました。iDeCo(個人型確定拠出年金)に追加加入が可能になることで、加入者の好みの金融商品がラインナップされている証券会社などの運営管理機関に口座を開いて、iDeCoを運用する事が可能となります。

実際の積立額は月額1~2万円程ですが、長年積立を非課税でできるメリットは大きいです。

「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で節税&老後資金作り

ここで、前項で登場したiDeCo(個人型確定拠出年金)をご紹介しましょう。「限度いっぱいまで掛けている」という方もいらっしゃるかもしれません。iDeCoは、年金制度の3階部分にあたる私的年金制度で、加入は自由です。

iDeCoはご自分で申し込み、掛金を拠出し、ご自分で運用方法を選んで掛金を運用します。掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。年間掛金は、自営業者やフリーランスは年額81.6万円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠)まで拠出可能です。

気に入ったiDeCo投資商品をもつ運営管理機関を選んで口座を開設する事ができるので、自由度が高く、節税効果も高い制度です。2022年からはDC加入者もiDeCoに加入できる可能性が広がります(一部加入できない場合があります)。「投資はちょっと抵抗が…」という場合も、確実な節税で資産を大きく育てましょう。

若いうちにライフプラン・マネープランを立てて老後に備えよう

人生100年時代などといわれて、漠然と老後資金に不安がある方向けに、目標金額や公的年金制度、節税しながら老後資金を貯める制度などをご紹介しました。

  • 「60代の方の老後資金は2,000万円必要」というのは、目標として準備するには妥当
  • 働く期間が延びて定期収入が続けば、2,000万円より少ない場合も
  • 65歳以上がかかりやすい3大疾病も、高額療養費制度などを活用しよう
  • 公的年金制度は3階建構造
  • 繰上げ受給、繰下げ受給はどちらにもメリット・デメリットがある
  • 収入を増やす可能性がある「副業」は現役時代からお試しを
  • 2022年4月から、企業型DC加入者もiDeCoへ加入できる可能性が広がる


※2021年10月28日時点の情報です。

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